⚠️ 本ガイドは目安です。判定が「C(要注意)」または「D(危険)」になった場合は、必ず樹木医等の専門家にご相談ください。倒木・枝折れの危険がある場合は速やかに立入禁止措置を行ってください。

📑 目次

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基本のしくみ
参考資料
🌳 判定のしくみ

樹木点検システムでは、2つの観点から樹木の状態を評価します。

① 活力度(Ⅰ-2)— 元気さ

葉の量や色など「樹木がどれだけ元気か」を17項目、0〜4の5段階で評価します。

評点状態衰退度の目安
0正常・健全 平均値で算出
(0.8未満)良
(0.8〜1.6)やや不良
(1.6〜2.4)不良
(2.4〜3.2)著しく不良
(3.2以上)枯死寸前
1わずかに異常
2明らかに異常
3著しく不良
4枯死寸前

② 健全度(Ⅰ-3)— 危険度

傾きや空洞など「倒木・枝折れの危険性」を14項目、A〜Dの4段階で評価します。

評価意味対応の目安
A異常なし現状維持
B軽微な異常経過観察
C危険性あり早期に専門家へ相談
D非常に危険緊急対応・立入制限

③ 総合判定

活力度と健全度のうち悪いほうの評価が総合判定になります。

活力度健全度総合判定
Ⅰ(0.8未満)AA 健全
Ⅱ(0.8〜1.6)BB 健全に近い
Ⅲ(1.6〜2.4)CC 要注意
Ⅳ・Ⅴ(2.4以上)DD 危険木
📘 本ガイドの見かた

各項目をタップ/クリックすると詳細が展開されます。3つの視点で解説しています。

🔍 現場での確認ポイント点検時にどこをどう確認すればよいか、具体的な手順を示します。
⚠️ 特に危険なサインこの症状が見られたら早急に対応が必要、という重要な見分けかたです。
👤 一般の方向けひとこと専門知識がない方でも判断しやすいよう、身近な例えで説明します。
🌿 Ⅰ-2 活力度(17項目) — 0〜4の5段階評価
樹木の「元気さ」を17項目で総合評価します。各項目を 0(正常)〜4(枯死寸前) の5段階で評価してください。すべての平均点が衰退度の判定に使われます。
樹勢— 木全体の元気さ 最悪 4
樹木全体の勢いや見栄えを直感的に評価します。健康な同種の木と比べて、生き生きしているかどうかが目安です。
評点状態の目安
0旺盛で被害なし。葉も枝も生き生きしている
1幾分影響はあるが、ほとんど目立たない
2異常が明らかに見える(葉が少ない・色が悪いなど)
3極めて劣悪。明らかに弱っている
4ほとんど枯死状態
🔍 現場での確認ポイント少し離れた場所から木全体を眺め、近くの同種の元気な木と比べてみましょう。「葉の量」「枝の張り具合」「全体のバランス」を見ます。
👤 一般の方向けひとこと第一印象でかまいません。「元気そう」「ちょっと弱ってそう」「明らかに枯れかけ」を直感で判断してOKです。
樹形— 自然な形かどうか 最悪 4
その樹種本来の自然な形を保っているかを見ます。サクラやケヤキなど樹種ごとに「典型的な形」があります。
評点状態の目安
0自然な樹形を保っている
1若干の乱れがある
2大きく形が変化している
3乱れが著しい
4樹形が完全に崩壊している
🔍 現場での確認ポイント樹種図鑑やネット画像で「健康なその樹種」の形と比べます。強剪定で頭を切られた木は形が崩れていることが多いです。
👤 一般の方向けひとことサクラなら「傘のような広がった形」、ケヤキなら「ほうきを逆さにしたような形」が自然です。これと大きく違っていたら評点を上げます。
枝葉密度— 葉の量・詰まり具合 最悪 4
樹冠(枝葉が広がる範囲)にどれだけ葉が詰まっているかです。葉の量は樹木の健康のバロメーターです。
評点状態の目安
0十分な量の葉がついている
1やや葉が少ない
2枯枝が目立ち、葉がやや少ない
3著しく葉が少ない
4ほとんど葉がない
🔍 現場での確認ポイント樹冠を下から見上げ、空の見え具合をチェックします。健康な木は葉で空がほとんど見えませんが、衰弱した木は枝の隙間から空がたくさん見えます。
👤 一般の方向けひとこと「下から見上げて青空がたくさん見える」=葉が少ない、と判断できます。落葉期(冬)は評価が難しいので、葉のある時期に行いましょう。
枝伸長量— 今年の枝の伸び 最悪 4
前年に伸びた新しい枝の長さ・太さを見ます。元気な木は毎年しっかりと枝が伸びますが、衰弱すると伸びが止まります。
評点状態の目安
0新枝が十分に伸長している
1新枝がやや小さい
2新枝が短く細い
3極度に短小
4萌芽(新芽の伸び)のみで枝にならない
🔍 現場での確認ポイント枝の先端を観察すると、その年に伸びた部分は色や質感が違います。鉛筆くらいの太さ・20〜30cm以上伸びていれば健全です。
👤 一般の方向けひとこと枝先が「ちょこんと小さい芽だけしかない」「指で触ると細くて頼りない」状態は要注意です。
葉の大きさ— 健全な同種と比較 最悪 4
葉のサイズを健康な同種と比較します。栄養不足や根の障害があると葉が小さくなります。
評点状態の目安
0十分な大きさ
1所々に小さい葉がある
2全体にやや小さい
3著しく小さい
4葉がわずかで、しかも小さい
🔍 現場での確認ポイント同じ場所にある同種の元気な木と葉を見比べます。小さくなっている範囲(一部か全体か)も評価のポイントです。
👤 一般の方向けひとこと葉を1枚拾って、その樹種の「普通の葉」とサイズを見比べてみましょう。明らかに小さければ栄養不足のサインです。
葉色— 色と艶 最悪 4
葉の色つやを確認します。健康な葉は濃く鮮やかな緑色ですが、弱ると薄くなったり黄ばんだりします。
評点状態の目安
0濃い緑色で鮮やか
1やや薄い緑色
2黄変が目立つ
3大部分が薄緑色
4薄緑・黄変のみ
🔍 現場での確認ポイント季節の影響を考慮します(秋の紅葉は別評価)。夏でも黄ばんでいる、葉脈の間だけ黄色い(マグネシウム欠乏など)といった病的な変色を見ます。
⚠️ 特に危険なサイン夏なのに葉全体が黄色〜茶色に変色しているのは、根の障害や深刻な水ストレスのサインです。
梢端枯損— てっぺんの枯れ 最悪 4
「梢端(しょうたん)」は樹木のてっぺん部分のこと。ここが枯れる現象は樹木全体の衰弱を示す重要なサインです。
評点状態の目安
0梢端の枯れなし
1少しだけ枯れている
2随所に枯れがある
3かなり目立つ
4梢端や主要な枝が完全に枯れている
🔍 現場での確認ポイント樹冠の最上部を見上げ、葉のない枯れた小枝が突き出していないか観察します。「枯下がり」と呼ばれる症状です。
👤 一般の方向けひとこと木の頭のてっぺんが「カサカサに枯れた箒(ほうき)のような枝」になっている状態。これが目立つ木は弱っています。
下枝枯損— 下のほうの枝の枯れ 最悪 4
幹の下のほうの枝が枯れる現象です。日陰で自然に枯れる場合と、衰弱で枯れる場合があります。
評点状態の目安
0下枝の枯れなし
1少し枯れている
2随所に枯れ枝、または剪定跡が目立つ
3かなり目立つ
4健全な枝先がほとんどない
⚠️ 特に危険なサイン枯れた枝は突然落下する危険があります。下枝の枯れが多い木の真下では作業や歩行に注意が必要です。
大枝欠損— 太い枝の折れ・欠け 最悪 4
直径10cm以上の太い枝が折れたり欠けたりしている状態です。大枝欠損は樹形を大きく崩します。
評点状態の目安
0大枝の欠損なし
1少し欠けたが回復しつつある
2随所に欠損が目立つ
3かなり目立つ
4幹の上部が失われている
🔍 現場での確認ポイント大枝が折れた箇所から雨水が侵入し、内部腐朽が進んでいないかも合わせて確認しましょう。
剪定痕— 切り口の回復具合 最悪 4
過去に枝を切った切り口が、樹皮で覆われつつあるか(巻込み)を見ます。元気な木は切り口を自分で塞いでいきます。
評点状態の目安
0旺盛に巻込んでいる(切り口がほぼ覆われた)
1巻込み成長中
2巻込みに活力がない
3ほとんど巻込んでいない
4全く巻込んでいない(切り口がそのまま)
🔍 現場での確認ポイント切り口の周囲にドーナツ状に盛り上がる樹皮(カルス)が形成されているかを確認します。
👤 一般の方向けひとこと人間の傷口がだんだんふさがるのと同じです。切り口がしっかり「かさぶた」のようになっていれば元気、ぱっくり開いたままなら衰弱のサインです。
樹皮傷— 幹のキズ・空洞 最悪 4
幹についたキズや空洞です。傷口から腐朽菌が侵入することがあります。
評点状態の目安
0傷はほとんどない
1少し傷がある
2古傷が残っている
3腐朽が著しい
4大きな空洞・樹皮の剥がれがある
⚠️ 特に危険なサイン大きな空洞は内部腐朽を示します。Ⅰ-3「開口空洞」「腐朽部露出」も合わせて評価してください。
新陳代謝— 樹皮の更新活発さ 最悪 4
樹皮の新陳代謝(古い皮が剥がれて新しい皮が出てくる動き)を見ます。健康な木は樹皮が活発に更新されます。
評点状態の目安
0活発に新陳代謝している
1一部不活発
2全体に活力がない
3著しく衰弱している
4大部分が壊死している
🔍 現場での確認ポイント樹皮の表面を観察します。健康な樹皮はその樹種固有のパターン(ケヤキの斑模様、サクラの皮目など)が鮮明です。死んだ樹皮はパサパサで色が抜けます。
胴吹き— SOSの不定芽 最悪 4
幹や根元から出る不定芽(ふていが)のことです。普通そこに芽はないはずなのに出てくる芽で、樹木のSOSサインです。
評点状態の目安
0胴吹きなし
1枝葉は多いが胴吹きあり
2枝葉少なめ+胴吹きあり
3枝葉極少+胴吹き多数
4枝葉極少+胴吹き少(最後の力)
👤 一般の方向けひとこと幹の途中や根元から、本来出ないはずの場所に小さな枝・葉が出ている状態。「樹冠の枝が弱って緊急で芽を出した」というSOS。多いほど樹木は弱っています。
— 冬芽の大きさ・数 最悪 4
枝先の冬芽(とうが)の大きさと数を見ます。元気な木は冬芽が大きく充実しています。
評点状態の目安
0大きな芽が多数
1やや劣る
2小さい・少ない
3著しく少なく貧弱
4ほとんど見られない
🔍 現場での確認ポイント冬〜早春が観察に適した時期です。枝先の芽が「ふっくらと膨らんで大きい」=元気、「小さくしぼんでいる」=衰弱と判断します。
紅黄葉— 秋の紅葉の鮮やかさ 最悪 4
秋の紅葉・黄葉の鮮やかさです。健康な木はきれいに紅葉しますが、衰弱すると色がさえません。
評点状態の目安
0鮮やかに紅黄葉する
1やや劣る
2一部のみ紅葉
3正常な紅黄葉が見られない
4紅葉前に葉が枯れ落ちる
🔍 現場での確認ポイント紅葉する樹種(カエデ、サクラ、イチョウなど)でのみ評価します。常緑樹は対象外です。
開花— 花のつき具合 最悪 4
花のつき具合・大きさを見ます。樹木のエネルギーが余っている健全な木はたくさん花をつけます。
評点状態の目安
0花つきが良好
1やや劣る
2花が小さく疎ら
3小さい花が多くまばら
4ほとんど開花しない
👤 一般の方向けひとこと※「衰弱した木が最後の力を振り絞って大量の花をつける」(最後の咲き)というケースもあります。判断に迷ったら他の項目も合わせて見てください。
結実— 実のつき具合 最悪 4
実のつき具合・大きさです。開花と同様、樹木の余力を反映します。
評点状態の目安
0実つきが良好
1やや劣る
2実が小さく疎ら
3小さい実が多くまばら
4ほとんど結実しない
🔍 現場での確認ポイントその樹種の結実期に観察します。地面に落ちている実から逆算的に結実量を推測することもできます。
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⚠️ Ⅰ-3 健全度(14項目) — A〜Dの4段階評価
「倒木・枝折れ」など事故につながる危険性を14項目で評価します。各項目を A(異常なし)〜 D(非常に危険)の4段階で評価してください。最も悪い評価が全体の健全度になります。
揺らぎ— 根元の安定性 最悪 D
樹木を揺らしたときの根元の安定性を評価します。風で揺れるのは正常ですが、根元自体がぐらつくのは異常です。
評価状態の目安
A異常なし
C小さな揺れがあるが、すぐに倒れる心配はない
D根元から大きく揺れ、地面と根の間に隙間が見える
🔍 現場での確認ポイント体重をかけて幹を押してみましょう。根元が動くか、根の周りの土に割れ目がないか確認します。
⚠️ 特に危険なサイン根元がグラグラと動いたり、根と地面の間に隙間がある場合は「D」評価です。すぐに専門家に相談してください。
👤 一般の方向けひとこと無理に強く押す必要はありません。風の強い日に観察すると根元の動きがわかりやすいです。
不自然な傾斜— 危険な傾きか 最悪 D
幹の傾きを見ます。日陰側へ伸びる自然な傾斜は問題ありませんが、根の支持力不足による傾きは危険です。
評価状態の目安
Aまっすぐ、または自然な傾き
B傾いているが、根はしっかりしている
D傾きに加え、根元の地面が盛り上がる・亀裂がある
🔍 現場での確認ポイント傾いている側の地面が盛り上がっていないか、反対側の地面に亀裂がないか観察します。
⚠️ 特に危険なサイン地際周辺の亀裂や異常な盛り上がりがある場合は非常に危険です。必要に応じて機器診断を行ってください。
亀裂— 幹の裂け目 最悪 D
幹に入った裂け目です。腐朽や落雷、衝突などが原因で生じ、幹折れにつながる重大なサインです。
評価状態の目安
A異常なし
C小さな亀裂がある
D樹体の存立に明らかに影響する大きな亀裂
🔍 現場での確認ポイント亀裂の深さと長さを確認します。雨水が入り込んで内部で腐朽が進んでいないかも注意。
⚠️ 特に危険なサイン大きく深い亀裂がある場合は、倒木や枝折れの危険が非常に高いため「D」評価です。
子実体(キノコ)— 腐朽のサイン 最悪 D
幹や根元に発生するキノコです。キノコは内部で進行している腐朽の「氷山の一角」です。
評価状態の目安
A異常なし
Cキノコの発生を認めた場合
D腐朽力の強いキノコ(ベッコウタケ等)、または剪定でも対処不能
🔍 現場での確認ポイントキノコの種類を見分けます。主な腐朽菌の見分けかたを参照してください。
⚠️ 特に危険なサインベッコウタケやコフキサルノコシカケは「強毒」レベル。これらが発生している木は内部で腐朽が深刻です。
👤 一般の方向けひとことキノコは雨上がりや夏〜秋によく見られます。一度見つけたら、その後消えても「過去に発生した木」として記録に残しておきましょう。
開口空洞— 幹の穴・空洞 最悪 D
幹に開いた穴・空洞です。空洞が幹周の1/3以上に及ぶと幹折れの危険が急激に高まります。
評価状態の目安
A異常なし
B空洞はあるが芯(中心)に達していない
C芯に達し、周囲長の1/3未満
D芯に達し、周囲長の1/3以上
🔍 現場での確認ポイント空洞の入口の幅を測り、その位置の幹周(円周)と比較します。「空洞の幅÷幹周」が1/3以上なら「D」評価です。
👤 一般の方向けひとこと幹を時計の文字盤と考えると、空洞が「12時から4時まで」(約120度)開いていれば1/3です。これを目安にしましょう。
隆起— 幹のこぶ状の膨れ 最悪 D
樹体内の腐朽や空洞に対して、樹木が力学的に補強しようと盛り上がる現象です。内部の深刻な変状を示すことがあります。
評価状態の目安
A異常なし
C小さな隆起がある
D幹周全体または根元に大きな隆起がある
⚠️ 特に危険なサイン幹周全体に及ぶ隆起や、根元の大きな隆起は内部に深刻な腐朽がある可能性が高いです。
👤 一般の方向けひとこと幹に「こぶ」のように盛り上がっている部分があるかどうかです。見た目は怖くないですが、樹木の中では大規模な異常が起きているサインです。
腐朽部露出— 腐った部分が見える 最悪 D
樹幹の傷口や枝の付け根から腐った部分が見えている状態です。スポンジ状になったり、白・茶色に変色します。
評価状態の目安
A異常なし
C周囲長の1/3未満
D周囲長の1/3以上
🔍 現場での確認ポイント腐朽の範囲を幹の周囲長と比較し、どの程度広がっているかを確認します。
👤 一般の方向けひとこと触ると指が沈むように軟らかく、ボロボロと崩れる材は腐朽が進んでいます。逆に固くて健全な木質は手で押してもびくともしません。
樹皮枯死・欠損— 樹皮の枯れ・剥がれ 最悪 C
衝突や病害虫などで樹皮が枯れたり剥がれたりしている状態です。傷口は腐朽菌の侵入経路になります。
評価状態の目安
A異常なし
B周囲長の1/3未満
C周囲長の1/3以上
🔍 現場での確認ポイント枯死部を軽く剥がして内部の腐朽の有無を確認します。樹皮が幹を一周してしまう「環状剥皮(かんじょうはくひ)」になると樹木は枯死します。
結合部の変状— 枝の又の状態 最悪 D
幹と枝の分かれ目(又)に樹皮が挟まった「入り皮」状態です。強風で裂ける危険があります。
評価状態の目安
A異常なし
C小さな変状がある
D強風等で被害が発生する危険性の高い大きな変状
🔍 現場での確認ポイント分岐角度が狭い枝(V字に近い又)や双幹木の又の部分を注意深く観察します。樹皮が挟まっている深さを確認します。
👤 一般の方向けひとこと「U字に開いた又」=丈夫、「V字に閉じた又」=裂けやすい、と覚えると判別しやすいです。
穿孔害虫等— 幹の内部を食害する虫 最悪 C
カミキリムシ、コスカシバなど幹や枝の中を食害する害虫です。侵入口からオガクズのような虫糞が出ます。
評価状態の目安
A異常なし
B小さな被害がある
C枯損の兆候が見られる
🔍 現場での確認ポイント幹や枝に小さな穴がないか、穴の周りにオガクズ状の虫糞(フラス)が落ちていないか確認します。
⚠️ 特に危険なサイン近年、サクラ・モモなどに被害をもたらすクビアカツヤカミキリ(特定外来生物)が拡大中です。麺状のフラスを大量に出すのが特徴で、発見した場合はただちに行政の担当窓口へ通報してください。
根張り— ルートカラーが見えるか 最悪 C
地際(地面と幹の境)で幹が根に向けて広がる部分=ルートカラーが見えるかどうかです。
評価状態の目安
A根張りがはっきり見える
C根張りが見えない
🔍 現場での確認ポイント地面と幹の境界がワイングラスのように広がって見えるか確認します。土に埋もれて幹がまっすぐ「電柱のように」突き出している場合は要注意です。
👤 一般の方向けひとこと健全な木は地際でゾウの足のように広がっています。見えない原因として「深植え」「土の埋め過ぎ」「根の腐朽」が考えられ、いずれも問題があります。
打診音異常— 幹を叩いた音 最悪 D
木槌で幹を叩き、その音の違いで内部の腐朽を推定する方法です。健全部と腐朽部で音が変わります。
評価状態の目安
A異常なし
C一部で音の異常がある
D広範囲で音の異常がある
🔍 現場での確認ポイント木槌で軽く幹を叩き、健全な部分と音の違いを比較します。腐っていると「ポコポコ」という鈍い音がします。
👤 一般の方向けひとこと「コンコン」と「ポコポコ」の違いはスイカを叩いた音と同じ要領です。市民の方でも聞き分けられます。
貫入異常— 根元の腐朽検査 最悪 D
先端の尖った鋼棒を地際に刺し、抵抗感で根の腐朽を調べます。腐朽していると抵抗なく貫入します。
評価状態の目安
A異常なし
C一部で貫入異常がある
D芯に達する異常、または広範囲の腐朽
🔍 現場での確認ポイント鋼棒を地際の周囲数カ所に刺してみて、手応えの違いを確認します。これは樹木医や専門業者が行う検査です。
👤 一般の方向けひとこと専門装備が必要なので、一般の方は「外見で根張りに異常を感じたら専門家に貫入検査を依頼する」と覚えておけば十分です。
ぶら下がり枝— 引っかかった折れ枝 最悪 C
折れて落下せずに木に引っかかったままの枝です。わずかな風でも落下する危険があります。
評価状態の目安
A異常なし
B小さなぶら下がり枝がある
C大きなぶら下がり枝がある
🔍 現場での確認ポイント樹冠を見上げて、折れて引っかかっている枝がないか確認します。逆光で見えにくい場合は時間帯を変えて再度確認しましょう。
⚠️ 特に危険なサイン大きなぶら下がり枝は直ちに落下する危険があります。通行人・車両が通る場所では立入制限を検討してください。
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🍄 主な腐朽菌の見分けかた

樹木に発生する代表的な腐朽菌を紹介します。赤色のものほど危険性が高いと覚えてください。

🔴 ベッコウタケ(腐朽力大)

茶色〜黒褐色で「べっ甲飴」のような光沢のある半円形のキノコ。サクラ・ケヤキ・カシなど幅広い樹種で発生。樹木の根や根元に発生し、白色腐朽を引き起こす最強クラスの危険菌です。発見されたらほぼ確実に内部腐朽が進んでいます。

⚠️ 対応原則として伐採対象。発見したら速やかに専門家へ。
🔴 コフキサルノコシカケ(腐朽力大)

白い粉(胞子)を傘の上に振ったように見える、半円形の硬いキノコ。クスノキ、ケヤキ、サクラなどに発生。樹幹の中心部の腐朽(心材腐朽)を進行させ、空洞化を招きます。

⚠️ 対応発見後数年で危険木になる可能性が高い。要精密診断。
🟠 カイメンタケ(腐朽力中)

海綿(スポンジ)状で表面がオレンジ〜黄褐色のキノコ。マツ類などの針葉樹に多く発生し、褐色腐朽(材質を煉瓦状に崩す)を引き起こします。

🟡 カワラタケ(腐朽力弱)

小さな半円形で、表面に灰色〜茶色の縞模様。非常に一般的なキノコ。多くは枯死木や倒木に発生しますが、生木の傷口にも見られます。毒性は比較的弱いとされていますが、発生していること自体が「腐朽部位がある」というサインです。

💡 キノコは氷山の一角。外に見えるキノコ1つに対して、樹木内部では何百倍もの菌糸が広がっています。「小さなキノコだから大丈夫」ではなく、「キノコがある=内部に腐朽がある」と考えてください。
📚 用語集
樹冠(じゅかん)
枝葉が広がっている部分の全体。木の「葉っぱの茂っている部分」のこと。
梢端(しょうたん)
樹木のてっぺん部分。樹冠の最上部。
地際(じぎわ)
幹と地面が接する境界部分。健全度評価で重要なポイント。
根張り・ルートカラー
地際で幹が根に向かって広がる部分。健全な木はゾウの足のように広がっている。
幹周(かんしゅう)
地面から1.2mの高さで幹を一周した長さ(cm)。胸高周囲ともいう。
樹勢(じゅせい)
樹木の元気さ・勢いを総合的に表す言葉。
胴吹き
幹の途中から出る不定芽。樹冠が弱ったときに緊急で出る芽。
ひこばえ
根元や根から出てくる芽。樹勢低下のサインのことが多い。
巻込み(カルス)
傷口や剪定跡を覆おうとして盛り上がる新しい組織。「樹木のかさぶた」。
腐朽(ふきゅう)
腐朽菌により木材が分解される現象。白色腐朽と褐色腐朽がある。
子実体(しじったい)
きのこの本体。胞子を作る器官で、菌糸の集合体。
入り皮(いりかわ)
幹と枝の又に樹皮が挟まった状態。強風で裂けやすい。
穿孔害虫(せんこうがいちゅう)
幹や枝の内部に穴を開けて食害する昆虫類。カミキリムシなど。
フラス
穿孔害虫が排出する木屑+糞の混合物。オガクズ状のものが多い。
樹木医
樹木の診断・治療を行う専門家。(一財)日本緑化センターが認定する資格。
機器診断
レジストグラフ、貫入抵抗計、超音波装置などで樹木の内部を非破壊で調べる検査。
📖 参考・出典
本ガイドの判定基準は 国土交通省「樹木点検要領(案)」(参考資料) に基づいています。一般市民向け解説部分は、樹木医の知見・現場経験に基づいてやさしい表現に書き換えたものです。
最終的な診断・治療判断は 樹木医等の有資格者 が行ってください。本ガイドの利用により生じた損害について、開発者は一切の責任を負いません。 ▲ 目次に戻る